新幹線N700系車両のアルミ、生まれ変わってローカル線の駅舎に

辻健治
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 JR東海は、東海道新幹線で走っていた車両のアルミを再利用し、駅舎建て替えの建築資材に活用する取り組みを始めた。資材を製造する際の環境への負荷を減らすのが狙いで、初の実用化となる飯田線下地駅(愛知県豊橋市)の新駅舎が、3月16日から供用された。

 駅舎に再利用されるのは、廃車となった「N700系」で、車体から純度の高いアルミ合金を抽出する。通常のアルミを新たにつくるのと比べ、製造時の二酸化炭素の排出量を97%削減できるという。2007年にデビューしたN700系では、1両につき4トンのアルミを抽出できる。

 新駅舎となる下地駅は、起点の豊橋駅の二つ隣で普通列車しかとまらない。一日平均の乗降人員が330人の小さな無人駅だ。従来の駅舎は1974年に建てられ、老朽化が進んでいた。新たな駅舎は、床面積が8平方メートル、高さ2・7メートル。N700系のアルミは、はりや柱などに使われる。駅舎のガラス面には、地元の小学校にあるイチョウをモチーフとしたデザインが採り入れられた。

 JR東海では、新幹線車体のアルミのリサイクルを進めており、東京駅の商業施設の装飾や野球の金属製バットを販売するなどしてきた。アルミは軽量で耐候性に優れており、駅舎では維持費の削減なども期待できるという。(辻健治)

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