第7回「反対です。哲学の問題です」航空評論家が戦闘機の輸出解禁に直言

有料記事安保の行方 武器輸出を問う

聞き手・田嶋慶彦

 日本が英国、イタリアと共同開発中の次期戦闘機について、政府は26日にも英伊両国以外への第三国への輸出を解禁します。次世代の戦闘機をつくる意義や、輸出の道を開く意味合いをどう考えるべきでしょうか。戦闘機の取材経験が豊富な航空評論家、青木謙知(よしとも)さんに聞くと、輸出解禁について「反対です」と話しました。

 ――次期戦闘機とはどのようなものでしょうか。

 日英伊3カ国の共通の狙いは、「第6世代」の戦闘機をつくろうということです。第6世代の定義はまだ決まっていませんが、第5世代は相手のレーダーに映りにくくする「ステルス性」などが特徴でした。第6世代は第5世代の能力に加え「無人機との連携能力」と各国は言っています。

 例えば、米国は無人機が有人戦闘機を守ることを主眼にしようとしています。有人戦闘機の様々な行動を無人機の人工知能(AI)がどんどん学習し、こう行動するべきだと判断することが想定されます。有人戦闘機が敵に狙われている際に守ったり、おとりのような役割をしたりするのが初歩的なものです。

著名な航空評論家の青木さんは、平和憲法の理念・精神を踏まえ、次期戦闘機の輸出について「国民が選挙で意思表示するしかない」と指摘します。記事の後半で紹介しています。

 ――日本側で開発の中核を担う三菱重工業は、国産初のジェット旅客機「スペースジェット」の開発を断念しました。同じ企業が戦闘機をつくれるのでしょうか。

 単独で開発するのは無理でし…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年3月27日9時10分 投稿
    【視点】

    輸出できる可能性はほぼなく、実用化も遠い先。それでも「技術大国」の過去への固執と、安っぽい右派イデオロギーが、各種の利害関係と結びつく。そのような底の浅い経緯で「哲学」を放棄する。日本に限った現象ではないかもしれないが。

    …続きを読む