姉に続いて水俣病と認められたのに…2人を分けた「除斥期間」の判断

有料記事終わらない水俣病 ノーモア・ミナマタ2次訴訟

杉浦奈実 山本逸生
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 水俣病の症状があるのに水俣病被害者救済法(特措法、2009年施行)で救済されなかったのは不当だとして、熊本・鹿児島両県などに住む原告144人が国などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は原告25人については水俣病と認めつつ、民法の「除斥期間」を適用して全員の請求を棄却した。

 「予想外の結果。頭が真っ白になって、耳に入ってこなかった」

 看護師として老人ホームで働く藤下節子さん(66)=熊本県天草市河浦町=は22日の判決を法廷で聞いた後、そう語った。

 中学生のころから、鉛筆でノートに引こうとした直線が、斜めになってしまっていた。看護学校でも、医院に勤めてからも、つかんだはずの薬品瓶や綿球などをよく落とした。患者に注射を打つ最中に手がつってしまい、やむなくほかの看護師に代わってもらうことが何度もあった。

 どうして、自分は人に比べて不器用なんだろう。「腹立ちもするし、悔しい思いをしてきた」。看護師の仕事は好きで、30年以上勤めた医院が縮小するときも本当は残りたかった。ただ、うまくできないときがあることが患者に申し訳ないという気持ちもあり、自ら身をひいた。

「意味がわからない」判決に拭えぬ疑問

 「不器用」のせいではなかっ…

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