「私はここにいる」 顔や名前を出して立ち上がる性暴力被害者たち

有料記事

編集委員・大久保真紀 島崎周

 長い間、社会の中で性暴力被害は恥じるものとされ、隠され、ないことにされてきた。それゆえに被害を訴えることは難しく、多くの当事者は沈黙を強いられてきた。それでも最近、名前や顔を出し、被害を訴える人が相次いでいる。誹謗(ひぼう)中傷や周囲の対応でさらに傷つく可能性がありながら、声を上げる。当事者たちにその思いを聞いた。

「存在がないもののように扱われてきた」

 「長年、存在がないもののように扱われて暴力を受けてきた私に対して、いまの私がたったひとつ、やってあげられることだと思った」

 天台宗の寺の僧侶からの性暴力被害を訴える尼僧の叡敦(えいちょう)さんは、1月末に法名や顔を明らかにして記者会見した理由をそう語る。「私がここにいるよ、生きていますよということを伝えるため」とも言った。

 叡敦さんは50代。約14年…

この記事は有料記事です。残り2724文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
大久保真紀
編集委員
専門・関心分野
子ども虐待、性暴力、戦争と平和など
  • commentatorHeader
    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2024年3月29日17時48分 投稿
    【視点】

    性暴力の被害女性3名が顔や名前を出して立ち上がったという点に焦点を当てた記事ですが、3者とも「宗教」関係であるというのが気になります。天台宗の僧侶から、カトリックの神父から、同じくカトリックの神父から、だと。伊藤詩織さんや五ノ井里奈さんの存

    …続きを読む