原発避難訴訟、神戸地裁も国の責任認めず 原告側「最高裁のコピペ」
東京電力福島第一原発事故後に福島県と宮城県から兵庫県内へ避難した30世帯78人が東電と国に計約7億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、神戸地裁であった。龍見昇裁判長は、国に対する賠償請求を棄却した。東電に対しては22世帯に計2424万円の賠償を命じた。
原告らは2013年9月、放射能汚染の不安で平穏な生活を奪われたことなどに対し賠償を求めて提訴。内部被曝(ひばく)を懸念し避難区域外から避難した人が中心で、原発事故に対する国の責任や内部被曝の危険性などが争点だった。
判決は「国が原発事故を防ぐための適切な措置を講じることを東電に義務づけたとしても、事故は避けられなかった可能性が高い」として国の責任を認めなかった。
東電に対しては、原子力事業者に賠償責任があると定めた原子力損害賠償法に基づき、支払いを命じた。
内部被曝については「呼気吸引や経口摂取による危険は認められない」などとし、原告らの「避難の合理的な根拠になる」との主張を退けた。
これまで同様の訴訟は全国で争われているが、22年6月に国の責任を否定する最高裁判決が出て以降は、全国の裁判所で同様の判決が続いている。
原告側は判決後に集会を開き、古殿宣敬・弁護団長は「判決文は数ページにわたり最高裁判決と一言一句ほぼ同じで、完全なコピペだ」と批判した。
原告の一人は「住民票もまだ福島にあるし、86歳の母は今も1人で福島にいる。原発事故さえなかったら……。ちゃんと国や東電の責任を追及したい」と涙ながらに話した。
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