民主主義が直面する三正面+1 世界は日本の立場を理解しているか

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聞き手・牧野愛博

 ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入り、中東でも戦火がやみません。日本国際問題研究所は、2月に発表した「戦略年次報告2023」で現状について、民主主義が三正面の危機に直面する「動乱の世界」と位置付けました。同研究所の吉田朋之所長は、政府が昨年に改定して規制を緩和した防衛装備輸出品三原則や能動的サイバー防御などで、日本も更なる対応を迫られていると指摘します。

 ――2月のミュンヘン安全保障会議に参加したそうですね。

 初日にロシアの反体制指導者、ナワリヌイ氏の死去が伝えられ、会場は「反ロシア、反プーチン(大統領)」と言える空気に包まれていました。欧州諸国は一様に「ロシアが勝てば、他の欧州諸国にも侵攻・威圧する」と強く警戒していました。

 北大西洋条約機構(NATO)域内の防衛産業の支援・育成や、国ごとに仕様が異なる武器弾薬の規格統一や相互運用性、得意分野を生かした域内防衛生産体制の分担、予算手当などについて発言が相次ぎました。ウクライナ支援だけではなく、NATO自身の防衛に、これほど具体的な議論が起きていることに、強い危機意識を感じました。

【連載】読み解く 世界の安保危機

ウクライナにとどまらず、台湾や北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。現場を知る国内外の識者に問いかけます。

 ――中国は会議でどのような情報発信をしたのでしょうか。

 中国から大勢の政府関係者や…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島