第3回映画オッペンハイマーを被爆者が見た 「核の責任を問いかけている」
2023年11月、長崎の被爆者らが米国で被爆体験を伝え、対話をしながら各地を巡るツアーに出た。総移動距離は約3万キロ。高校や大学、教会などで講演を重ねた2週間に記者(寺島)が同行し、米国市民の思いを聞いた。
米西部オレゴン州ポートランド。この日、記者は配車サービス「ウーバー」を利用した。穏やかな笑顔で迎えてくれた運転手のデル・ジョンソンさん(50代)は、かつて米海軍に所属し、カリフォルニア州の訓練基地で勤務していたという。
「80代の被爆者が、体験を語るために米国に来ている」。そう話すと、「素晴らしいことだ」と応じてくれた。
「核を開発した米国に、核時代を終わらせる責任がある」。被爆者らのそうした訴えについて聞くと、「100%そう思う」とうなずいた。「私たちが作った。私たちが廃絶を始めるべきだ」
予想外の反応だった。やはり時代は変わる。米国の市民も被爆者らと同じ思いを抱いてくれている。
「でも」と声を強める。「どうやって始めたらいいんだ」
ロシアのウクライナ侵攻は長期化し、プーチン大統領は核兵器使用の威嚇を繰り返す。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃も出口が見えない。「世界はますます狂っているんだ」
「核なき世界」を求めながら、その道筋は見えていない。現実をあらためて突きつけられた気がした。
原爆投下をめぐる米国内の世論も複雑だ。
1945年の世論調査では…
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