防衛省は18日、同日朝に北朝鮮から弾道ミサイル3発が北東の方向へ発射された、と発表した。いずれも短距離弾道ミサイルとみられ、日本の排他的経済水域（EEZ）外に落下した。北朝鮮の弾道ミサイル発射は1月14日以来で、合同軍事演習などで圧力を強める米韓への対抗との見方が出ている。

　防衛省によると、ミサイルは18日午前7時44分ごろに2発、午前8時21分ごろに1発が発射された。いずれも最高高度は約50キロ、飛距離は約350キロで、日本海に落下した。航空機や船舶の被害は確認されていない。林芳正官房長官は18日の記者会見で「現在までのところ、航空機や船舶の被害は確認されていない」としたうえで、「北朝鮮に対し厳重に抗議し、強く非難をした」と述べた。

　韓国軍の合同参謀本部も18日、同日午前7時44分～8時22分ごろに、平壌付近から日本海上に向けて「短距離弾道ミサイルとみられる飛行体」が数発、発射されたと発表した。約300キロ飛行し、日本海上に落下したとしている。

　北朝鮮は国防力強化の5カ年計画に沿い、核・ミサイル開発を加速している。米韓への反発も強めており、両国が4～14日に実施した定例の大規模軍事演習に対しても、国防省の談話を通じて中止を求めた。演習期間中には金正恩（キムジョンウン）総書記が軍の砲撃などの訓練を指導し、「戦争準備」の重要性を強調する様子を相次いで伝えていた。

　演習の終了からまもない時期に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことについて韓国の専門家からは「米韓両国に対抗する姿勢を示す意図がある」との見方も出ている。ソウルでは18日から第3回の「民主主義サミット」が開かれ、米国のブリンケン国務長官も訪韓した。北朝鮮がこうしたタイミングを狙ってミサイル発射に踏み切った可能性もある。（成沢解語、ソウル=稲田清英）