自民党安倍派の裏金事件を受けた参院政治倫理審査会をめぐり、野党は15日、実態解明が進まなかったとして自民の世耕弘成・前党参院幹事長ら3氏の「証人喚問」を要求した。自民からも実態解明に後ろ向きな党執行部への批判が出始め、長く同派会長を務めた森喜朗元首相の責任追及を求める声も高まっている。
この日の参院予算委員会。立憲民主党の田名部匡代氏が、世耕氏らは裏金の還流の違法性を認識していた可能性があるとして事実関係の調査を求めたが、岸田文雄首相は「捜査権がなく、書類の保存などの制約もある」と拒否した。
14日の参院政倫審は、「安倍派5人衆」の世耕氏に加え、同派の橋本聖子・元五輪相と西田昌司氏の3氏が出席したが、いずれも自身の関与を否定するばかり。世耕氏は、違法性の認識などをめぐり、ちぐはぐな答弁が際立った。
野党は追及のステージを上げるため、虚偽発言に罰則がある「証人喚問」を要求。参院政倫審後、立憲民主党の泉健太代表は「証人喚問に行くこともありうる」と述べ、国民民主党の玉木雄一郎代表も「政倫審に限界があることは明らかだ」と同調する姿勢を示した。
だが、自民は証人喚問に消極的だ。そもそも証人喚問どころか政倫審の開催さえ及び腰で、野党は衆参計83人(離党者を含む)の弁明を求めたが、現段階で実現したのはわずか8人。18日の衆院政倫審で、安倍派事務総長経験者の下村博文元文部科学相の出席こそ容認したものの、これ以上応じる構えは見られない。
ただ、収まらない世論の批判を背景に、自民内でも対応を求める声が出始めた。石井準一・参院国会対策委員長は記者団に「疑惑の解明には至らなかった。食い違うような発言もあった」と指摘。無派閥の三原じゅん子参院議員は15日、自身のX(旧ツイッター)で世耕氏を念頭に「『知らない』『分からない』じゃなくて!説明を果たし、自ら政治的責任を取るのが本来の在り方ではないか」と投稿した。こうした党内の声がさらに強まれば、証人喚問に賛同する動きが表面化する可能性もある。
森氏への聞き取り調査求める声、党内からも
また、実態解明には森氏への…
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