詐欺の受け子も「だまされた」? 相次ぐ無罪主張、裁判所の着目点は

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田中恭太
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 特殊詐欺で現金を回収する「受け子」を担ったとして起訴された被告が「詐欺だと思っていなかった」と無罪を訴えるケースが少なくない。背景には、詐欺グループの上層部が合法的な仕事に見せかけて受け子を勧誘する実態がある。詐欺罪は「だます故意」がないと成立しない中、裁判所は被告の「内心」をどう見極めているのか。

昨年、東京地裁、東京地裁立川支部、東京高裁で言い渡された裁判例を例に解説するとともに、元裁判官の見解をご紹介します。

ジモティーで見つけた配送の仕事のはずが

 「詐欺の認識はありませんでした」。東京地裁で昨年あった公判で、被告の女(36)は訴えた。

 特殊詐欺の受け子として、高齢者4人から計約2千万円をだまし取った罪に問われていた。

 法廷でのやり取りによると、被告は不用品や求人情報などが投稿される掲示板サイト「ジモティー」で「配送スタッフ募集 日当3万円」との求人を見つけた。「提携先の探偵事務所の依頼者から書類を受け取る仕事」と説明を受け、守秘義務の誓約書を出し、仕事を始めた。

 指示通りに高齢者に会い、偽…

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