能登半島地震後に石川県輪島市を襲った火災で、60年続いた中華料理店が全焼した。全てを失ったかに思えたが、焼け跡から、店のスープをつくる寸胴(ずんどう)がほぼ無傷で見つかった。再建を諦めかけた元店主の男性は、寸胴に背中を押されて再起に向けて準備を始めた。
地震で200棟以上が焼けた輪島市河井町の朝市通りに男性の店、「香華園」はあった。ラーメンやチャーハンが人気の「町中華」で、観光客にも地元客にも愛された。
寸胴の仕込みに5年 「ようやく一人前」
寸胴で鶏ガラや魚介類を数時間煮込んで作るスープが味の決め手で、ラーメンやチャーハンのほか、カツ丼など9割以上のメニューを支えた。元店主の板谷(いたたに)吉生(よしお)さん(48)は高校を卒業した後、実家のこの店で修業を積んだ。5年ほどして寸胴で仕込みをさせてもらえるようになった時、「ようやく一人前になれた気がした」と話す。
2011年に父から店を継い…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら