同性愛を「思春期の気の迷い」と言った両親、提訴後に訪れた雪解け

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石垣明真
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 同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反する――。北海道の同性カップル3組が国を訴えた訴訟の控訴審判決の結論は「違憲」だった。涙をぬぐいながら判決理由を聞いていた原告の一人、中谷衣里(なかやえり)さん(32)=旭川市出身=は判決後、「私は私のままで、この国で胸を張って生きていいんだと思えました」と喜びを語った。

 法廷に立ち続けた中谷さんの脳裏にあったのは、両親の存在だった。

 性的指向を公表し、裁判を闘う中谷さんを、両親が見守り、応援する。互いを尊重し合う関係にたどり着くまでには、険しい道のりがあった。

 中谷さんが、両親にレズビアンだと打ち明けたのは、高校2年の時だった。ある女性からもらった手紙を家の廊下に落としたまま、外出した。帰宅すると、手紙はきれいに伸ばされ、居間の机の上に置かれていた。

 「これ、どういうことか説明して」。両親から迫られ、正直に話した。「これは女性からもらった手紙です。私は女性が好きです」。正座していた両親は、泣き崩れた。そして、言われた。

 「思春期の気の迷い。じきに治るよ」

 世界保健機関(WHO)が「同性愛はいかなる意味でも治療の対象にならない」と宣言してから10年以上たっていた。それなのに、実の両親に「同性愛は治すべきものだ」と受け止められ、傷ついた。

「生き抜く」ため、自ら「ネタ」に

 友人にカミングアウトすると…

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