第2回報復の2期目、トランプ氏が描く復権シナリオ 1期目の再現を超えて
連載 トランプ再来 備える日本と世界:②
米大統領選に向けた共和党の指名争いを制し、次期大統領候補となったトランプ前大統領(77)。2月最後の週末、ワシントン近郊で開かれた「保守政治活動会議(CPAC)」に現れた。
「皆さま! 米国の次期大統領、ドナルド・J・トランプの登場です」
11月5日の投票日は、8カ月以上も先だ。だが、満員の会場からは万雷の拍手が起こった。
「11月5日は、勤勉な米国民にとっては、新たな『解放記念日』となる」。トランプ氏はそう言うと、続けた。
「だが、今の政府(バイデン民主党政権)を乗っ取っているウソつきや詐欺師、検閲官、ペテン師たちには『最後の審判の日』になるのだ」
もしトランプ氏が再び大統領になったら――。その日に身構え、日本のメディアでも「もしトラ」という言葉が流行する。米国でも「トランプ2・0」といった標語を掲げ、トランプ氏による次期政権を予期するような報道が増えている。国境を封鎖して移民を追放し、短期的な利益を優先した「ディール(取引)」外交を繰り広げる――。政策面だけをみれば、1期目のトランプ政権の延長線上にも映る。
だが今回、トランプ氏は2016年や20年の大統領選にはなかった重要なテーマを掲げている。「報復(retribution)」だ。
トランプ氏は20年の大統領選で敗れて以来、「不正選挙で勝利が盗まれた」と根拠なく主張してきた。21年1月には支持者が暴徒化して連邦議会議事堂を襲撃する事件も引き起こしたが、バイデン大統領の就任を阻止するには至らなかった。ならば24年の大統領選に勝って権力を奪還しよう。それが、トランプ氏が演出する「報復」のシナリオだ。
アメリカ大統領選に向けた共和党の候補者選びを制したトランプ前大統領。演説でも「報復」を掲げてきたトランプ氏が勝ち、「第2次政権」が誕生すれば、米国は、日本は、世界はどう変わるのか。全7回の連載で見取り図を示します。
「不当な扱いを受け、裏切ら…
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