富士山登山鉄道構想の中間報告、今年度中の公表見送り

池田拓哉
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 山梨県が今年度中を目指していた富士山登山鉄道構想の中間報告の公表が、新年度にずれ込むこととなった。県は物価高騰の現状を考慮し、整備費の算出にさらに時間を要すると判断した。県幹部は「6月までには公表したい」と話す。

 県が12日に事業化検討会をネット会議で開き、収支分析や技術課題について6人の専門家から意見を聞いた。県は2021年2月に整備費を概算で1400億円と公表しているが、専門家からも整備費の精査をさらに進めるよう求められたという。県によると、鉄道や駅舎の資材や人件費が近年高騰しているという。

 県は、鉄道や駅舎を県などが設置し、運行を民間に委ねる「上下分離方式」を検討している。和泉正剛・富士山登山鉄道推進監は13日、取材に対して「車両や点検整備の費用を民間が負担すれば黒字の確保は可能と考えられるが、収支見通しの根拠は現時点では出せない」と話した。

 県は昨年11月から富士北麓(ほくろく)地域の自治体で登山鉄道構想の県民向け説明会を開催し、事業費や収支見通しを中間報告で説明する考えを示していた。長崎幸太郎知事は先月、朝日新聞のインタビューで「中間報告を共有しながら、さらに議論していきたい」と語っていた。(池田拓哉)

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