「徴兵制」世界で復活の動き、市民は拒めるか 識者がみる「矛盾」
ミャンマー国軍が2月、「徴兵制」の実施を発表すると、対象となる人々が国外へ逃れようと隣国タイの大使館前に列を作りました。徴兵制は東西冷戦後、世界的に廃止の流れが強まりましたが、現在も60カ国ほどが採用し、復活を議論する国もあります。いまなぜ徴兵制なのか。兵役拒否を研究する京都女子大の市川ひろみ教授(国際関係論・平和研究)に聞きました。
――徴兵制とはどんな制度でしょうか。
国家が国民に対して兵役、すなわち軍隊の役務に強制的に従事させる制度です。「すべての成人男性」といった形で課されます。希望者で構成される場合は「志願制」と呼ばれます。
――ミャンマーで徴兵を逃れようとする動きが注目されました。
戦闘任務に就けば、負傷や、死亡するおそれさえあります。徴兵を逃れようとする人は自分の命だけでなく、自分が死傷したら困窮してしまう近親者のことを考えて行動している場合もあるでしょう。
ミャンマー軍は、市民が民主化運動の末に勝ち取った政権をクーデターで転覆させました。それゆえに国民に広く支持されているわけではなく、軍の任務に命をかけるほどの正当性も感じないでしょう。
徴兵逃れ、ロシアやウクライナでは
――徴兵を逃れるための出国は、ウクライナ侵攻(2022年2月)初期のロシアで増えて報道され、最近はウクライナでも深刻だと言われます。
ウクライナでは、侵略から自…
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