EUのギグワーカー保護、「妥協の精神」で採択 世界でも割れる判断

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ロンドン=藤原学思 パリ=宋光祐 ブリュッセル=牛尾梓

 欧州連合(EU)の加盟国の閣僚らでつくるEU理事会は11日、「ギグワーカー」を正式な雇用関係のある労働者として保護する指令案を採択した。指令案は昨年12月に政治合意されたが、大使採決で2度にわたって否決。「妥協の精神」で三度目の正直となったが、「骨抜き」との声も上がっている。

 ギグワーカーは、ウーバーイーツといったプラットフォーム(PF)企業を通じて仕事を請け負う労働者のこと。これまで個人事業主として扱われてきたが、指令案では、法的にPF企業との雇用関係を明確にし、正当な待遇を受けることを目指している。また仕事ぶりを評価する目的で使われるアルゴリズム(計算手順)も、透明性の確保をPF企業に義務づける。

 しかし、雇用関係の有無をどう判断するかで意見が割れた。政治合意された当初案では、受け取る報酬の上限や、労働時間の選択の制限といった五つの基準のうち二つを満たせば、法的に雇用関係があるとした。

なぜ今、ギグワーカーを保護する必要性があるのか。記事の後半では英国、フランスの事例を紹介します。

 しかしPF企業を過度に縛り…

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この記事を書いた人
牛尾梓
欧州総局|欧州連合(EU)担当
専門・関心分野
国際政治、データジャーナリズム、AI、OSINT