駅長務め40年、村の夫婦が支えた花の駅 待合室に流れる温かい時間

有料記事線路は続くか

遠藤和希
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 単線の鉄路が険しい山々をぬうように走る信州最北の村は冬、背丈を超える高さの積雪に包まれる。千曲川沿いに民家が並ぶ小さな集落から、雪の壁に囲まれた道を抜けた先に村人が駅長を務める駅はあった。近くに住まいを構える夫婦が40年間、駅長としてこの駅を守ってきた。

 長野県栄村の横倉駅は、新潟と長野を結ぶJR飯山線の駅の一つ。いま駅長を務める上倉直人さん(80)は、業務時間の午前6時半から午後6時までの間、上下線で毎日10本の列車到着時間が近づと、駅舎に向かい窓口で切符を販売する。雪が積もる冬には駅に通じる道の除雪も欠かさない。

 直人さんは大工として生計を立て、妻の千代子さんは駅前で理容室を営んでいた。赤字に悩む旧国鉄が1982年、横倉駅の無人化方針を打ち出すと、村は駅の窓口業務などを維持するために村の予算で村人に駅長を委託することにした。「人が駅を守るからこそ、癒やされる人もいるのでは」と、委託駅長を引き受けたのが上倉さん夫婦だった。はじめは千代子さんが駅長に就き、その後は大工の仕事を退いた直人さんが駅長を引き継いだ。

乗客を楽しませる夫婦のアイデア

 駅の周りには春から夏にかけ…

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