第2回離婚後のがん再発、よぎった終わり「70歳生きたから、もういいや」

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根岸拓朗

 「すぐに手術をしないといけません」

 東京・築地の国立がん研究センター中央病院。谷川厚子さん(75)は、子宮頸(けい)がんの再発を医師から告げられた。

 「小指の先ほど」の大きさで、すぐに取り除かなければいけないという。

 医師は厳しい口調で即決を求めてきたが、谷川さんは「考えます」としか返せなかった。

 お金がなかった。

 北海道恵庭市で、年金とそば屋のパートの仕事で1人で生活してきた。仕事中、下着にわずかな出血があったのにトイレで気づいたのが、がん治療のきっかけだった。

 7回の手術を繰り返し、払った治療費は150万円以上。がん保険には入っておらず、貯金はほぼ底をついていた。知人に誘われて東京にある女性支援団体のもとに身を寄せて、新たな生活を何とかつくりあげようと動き出した矢先、再発がわかった。

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 「70歳まで生きたから、も…

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この記事を書いた人
根岸拓朗
東京社会部
専門・関心分野
司法、人権、ジェンダー