「女性は養われる」社会像が貧困リスクに 識者「賃金格差の解消を」
高齢単身女性の相対的貧困率が4割にのぼっている。一部で深刻さが指摘されていたが、政治的にも社会的にも、光が当たってこなかった。背景をたどると、私たちの日本社会に色濃く残る「ジェンダー格差」の連鎖が浮かび上がる。
厚生労働省の国民生活基礎調査(2021年分)をもとに、阿部彩・東京都立大教授(貧困・格差論)が集計した相対的貧困率を5歳おきの年齢層別にみるとグラフの動きに、ある特徴が浮かぶ。65歳を超えると、ひらがなの「く」の字を描くように、男女の値が開いていくのだ。その差は70~74歳で3ポイント、75~79歳で8ポイント、80歳以上で11ポイントと大きくなる。
昨年11月の参院予算委員会で、岸田文雄首相は国民民主党の伊藤孝恵氏からその理由を問われ、「70歳以上になると女性の方が単身になる割合が高いが、女性単身世帯の所得は男性より低い。女性の賃金は相対的に男性より低い傾向にあり、高齢期に低年金になりやすい」と述べた。
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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]