廃棄物は通常の原発600基分 福島第一の廃炉、早く議論すべき理由

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福地慶太郎
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 世界最悪級の原発事故を起こした東京電力福島第一原発について、政府と東電は2051年までの廃炉完了を目標に掲げるが、その時の具体的な姿は示していない。

 地元の福島県は、燃料デブリや使用済み核燃料を含む放射性廃棄物を県外で処分するよう求めているが、議論は進んでいない。

 放射性廃棄物はどの程度の量になるのか。

 技術コンサルタントの河村秀紀さんらは17年、関係者の議論に生かしてもらおうと、福島第一原発の図面などの公開情報をもとに試算した廃棄物の量を発表した。

 敷地の放射線量が下がり、自由に出入りできる状態にする場合の放射性廃棄物は約780万トン。事故を起こしていない原発の600基分に相当する。建屋周辺の地下の岩盤や港湾内の堆積(たいせき)土といった環境修復で生じる廃棄物が3分の1という。

廃棄物を半減、さらに4分の1にする方法も

 日本原子力学会の分科会が20年に公表した報告書は河村さんらの試算を引用し、更地にする「完全撤去」、地盤などを残して管理する「部分撤去」のシナリオを検討。部分撤去だと廃棄物量は完全撤去の約半分の約440万トンで、さらに放射性物質が自然に減るのを待つ期間を置けば、約110万トンになるとした。

 報告書は、国際原子力機関(…

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