「男性=仕事」「女性=家庭」の偏見は女性が強い? 10万人を分析

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中山美里

 日本の会社員の3人に1人は「男性=仕事」「女性=家庭」というアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を強く持っていることが、職場の多様性推進に取り組む経営コンサルが企業123社に研修した際の延べ10万人のテスト結果からわかった。強い偏見がある社員は、女性の方が多い傾向があったという。

 無意識の偏見は、幼少期から親ら周りの人の振る舞いを見たり、メディアなどの情報を受けたりして蓄積する。本人はそれが差別だと気づかなくても、態度や行動で表れることがある。

 自分でも気づかない偏見を定量的に測る手法として、米ワシントン大の研究者らが開発したIAT(Implicit Association Test)というテストが広く使われている。

 テストではパソコンの画面に単語や絵を次々に表示し、それが「男性」「仕事」「女性」「家庭」のどれと関係しているかを素早く判断させる。

 このとき、「男性と仕事」「女性と家庭」をセットにした場合と、「男性と家庭」「女性と仕事」をセットにした場合の反応の差から、「男性=仕事、女性=家庭」の結びつきの強さを測る。企業や組織など集団の傾向を測るのに適しているとされ、多くの企業で研修に採用されている。

 職場の多様性推進について企業向けの研修をしている「チェンジウェーブグループ」(東京都)は、フェリス女学院大の潮村公弘教授の監修を受けてIATの日本版を開発。朝日新聞は、この研修を受けた123社、延べ10万人分の匿名化データの提供を受け、内容を分析した。

 その結果、「男性=仕事」「女性=家庭」という偏見が強い社員は、男女とも3割を超えた。強い偏見がある社員は、男性30.3%に対して女性が37.1%と、女性の方が多い傾向があった。

 こうした無意識の偏見は、職…

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この記事を書いた人
中山美里
デジタル企画報道部
専門・関心分野
データ分析、働き方、ジェンダー、環境
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    藤田結子
    (社会学者)
    2024年3月6日14時11分 投稿
    【視点】

    いろいろな解釈の仕方があると思います。女性の方が「男性=仕事、女性=家庭」に賛成していて、女性の方が偏見が強い、というわけではない可能性もあります。 職場での研修を受けた10万人分のデータということであれば、「伝統的」とされる性別役割

    …続きを読む