第3回「いい子でいなくていいよ」 原発事故で転校した私、能登で先生に

有料記事被災地で育つということ

力丸祥子
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 1月15日、石川県中能登町の鳥屋小学校では、予定より1週間遅れて3学期が始まった。

 能登半島地震で震度6弱の揺れに襲われ、約3千棟の住宅が全半壊などの被害を受けた。

 全校児童約260人は無事だった。先生たちがほっとしたのもつかの間、校長先生が告げた。

 「急きょ、避難してきた子を受け入れることになりました」

 より被害が大きかった同県の珠洲市や輪島市から、親戚などを頼って避難してきたという。急な知らせに、職員室に動揺が走る。

子どもの表情を和らげた一言

 4年1組の担任、中谷萌瑛(もえ)さん(23)は、13年前の自分と重ねていた。

 2011年の東日本大震災当時は4年生。小学校教員だった母、二つ上の姉と、福島県いわき市で暮らしていた。断水、続く余震。東京電力福島第一原発の事故による避難指示はない地域だったが、放射能への恐怖から、大人がピリピリしているのがわかった。

 母は7カ月後、自主避難を決めた。

 「福島から避難してきた子」…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年3月6日8時0分 投稿
    【視点】

    災害や戦争や事故や事件が起きるたび、何げない日常の「当たり前」の尊さに気づかされる。時が経つにつれて、その「当たり前」への感謝が薄れていく。人の歴史って、その繰り返しなのかもしれないな、と感じることがあります。 中谷萌瑛さんは、子ども

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年3月11日7時42分 投稿
    【視点】

    福島県郡山市にお住まいの「kotonoha」さんから、私のコメントに感想をいただきました。子どもの詩に関するお仕事をされているそうです。東日本大震災が起きる前、小学6年生だった子が書いた「ありがとう」という詩のことを教えてくださいました。そ

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