国交省が頼ったリニア「最後のカード」 事態は動き、急展開に

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角詠之
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 リニア中央新幹線の静岡工区着工をめぐり、川勝平太静岡県知事JR東海の溝は埋まらなかった。川勝氏の辞職に少なからず影響を与えたのは、川勝氏に翻弄(ほんろう)され続けてきた国土交通省が頼った「最後のカード」だった。

 川勝氏は辞職を表明した翌日の4月3日に臨時の記者会見を開き、辞職を決めた経緯について説明した。そこで最大の理由として挙げたのがリニアをめぐる問題で、「大きな区切りを迎えた」と述べた。

 この会見で川勝氏が「後は任せられると思った」と話し、繰り返し名前を挙げた人物がいた。国交省関係者によると、この人物こそ、国交省幹部が温めていた「最後のカード」だったという。

 「最後のカード」に頼るまでには様々な攻防があった。

 まず立ちはだかったのは大井川の水量問題だった。2017年3月、リニア工事によって大井川の水量が減ることを懸念する県内の7市町の首長が、JR東海に徹底対策を求める要望書を県に提出。応じた川勝氏は「要望に全面的に賛成」と語った。

 それから6年後の23年4月。今度は流域全10市町の首長たちが連名の要望書を国交省の鉄道局長に手渡した。そこには「県とJR東海との対話への参加や調整に関わるなど、課題の解決に向けて議論がさらに進むよう、より強い指導力を発揮してくださることをお願い申し上げます」などと記されていた。国にリニア解決の「行司役」を委ねた形だ。

 この間、何があったのか…

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