世界初の手術成功、男児が京大病院を退院 肺と肝臓の一部を同時移植

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桜井林太郎
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 京都大病院は4日、先天性角化不全症という病気の10歳未満の男児に対し、40代の父母から肺の一部を、60代の祖父から肝臓の一部を同時に移植したと発表した。4人とも無事に退院した。同病院によると、生体肺肝同時移植手術は世界初。

 先天性角化不全症は、遺伝子の異常によって皮膚や粘膜、神経系、肺、肝臓などの全身の臓器・組織で異常をきたす。関東地方に暮らす男児は2歳で発症。重い貧血があり4歳の時に妹から骨髄移植を受けた。だが肺で酸素を取り込みにくくなり、肝臓の血管の圧力が高くなるなど病状が悪化、肺と肝臓の移植が必要になった。

 手術は昨年11月15日に実施。男児と父母と祖父で四つの手術室を使い、肺、肝臓の順で進め、18時間11分で終えた。男児は術後2カ月半ほどで酸素吸入が必要なく歩けるようになり、今月1日に退院した。「コンビニに行けるようになった」と非常に喜んでいたという。

 同病院によると、脳死ドナー(提供者)からの肺肝同時移植は米国やドイツなどで数十例あるが、日本では脳死ドナーが少ないうえ、肺と肝臓の同時移植は適応外となっているという。

 両親は京大病院を通じて「当初はもう打つ手がないものと絶望的な気持ちでしたが、様々なリスクがある中で、今回の提案をしてくださったことが私たち家族にとって唯一の希望でした。改めて皆様に感謝申し上げます」などとするコメントを出した。

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