火力の水素・アンモニア代替、世界発電量の1%だけ 2050年試算

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桜井林太郎
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 火力発電所で天然ガスや石炭の代わりに、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニアを使う対策が検討されているが、京都大の研究グループが、2050年に水素とアンモニアによる発電量(混焼も含む)が世界の発電量に占める割合は、最大でも1%程度にとどまると試算し、脱炭素への貢献は限定的になると分析した。

 日本政府と大手電力会社などは水素・アンモニア発電を推進し技術開発を進めているが、化石燃料による発電の延命につながるだけだと海外から批判も受けており、改めて論議を呼びそうだ。

 地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」では産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く、できれば1・5度に抑える目標を掲げている。太陽光や風力の電気でつくった水素やアンモニアを発電に使えば脱炭素に貢献しうるが、生産コストが高いうえ、産業・運輸部門の一部と競合する。発電設備の稼働率が低くなると採算が取りにくくなる可能性もある。

 研究グループは、世界を33地域に分け、将来人口や経済成長、技術の進展から、エネルギー費用を最小化するようにCO2排出量やエネルギー需給などを推計するモデルを使い、50年までシミュレーションをした。

 気温上昇を1・5度や2度に抑えるシナリオで、技術開発で水素やアンモニアの生産費用が大きく低下したり、CCS(二酸化炭素回収・貯留)による削減を制限したりするなどの様々な条件で調べた。

 その結果、50年には風力と太陽光の発電量が大きく伸ばし、世界全体の火力発電量は現状より7~9割程度減る。水素やアンモニアによる発電量(混焼も含む)は最大でも1%にとどまる。

 1・5度目標で水素・アンモ…

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