「今は多様性の時代」という言葉の危うさ 問うべき社会の構造とは

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聞き手・田中聡子

 「多様性」という言葉がさまざまな場面で使われるようになりました。女性やセクシュアルマイノリティーの声が可視化されるようになったものの、差別は今も残ります。足りていないものは何か、フェミニズム・クィア理論研究者の藤高和輝さんに聞きました。

抑圧される「トラブル」

 最近よく「今は多様性の時代」という言葉を耳にします。喜ばしいと捉えている人もいれば、煙たがる人もいます。どちらにしても、私はこの言葉に危うさを感じます。

 まるで「時代が変わったからマイノリティーの声を聞かないといけない」かのようです。しかし、当たり前ですが、「時代が変わったから」問題なのではありません。女性やセクシュアルマイノリティーへの差別はこれまでもずっとありましたし、今もあります。もし「時代が変わったから知った」のであれば、「それまで知らなかった」ことが問題です。

 学生と接していると、「多様…

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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2024年3月8日5時0分 投稿
    【視点】

    多様性という言葉、私もよく使います。その言葉の危うさ、そこはかとなく感じながら……。その危うさ、そして差別との関係性をわかりやすく整理して、わかりやすく言語化してくださったインタビューです。 多様性ブームの背景にあるのは、時代ではなくて、

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]