サロン探しを諦めさせない 散髪が苦手な人が通う1席だけの理容室

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阿部育子
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 東急東横線日吉駅から徒歩3分。理容室シルエット(横浜市港北区)には、席が一つだけ。店内には漫画やおもちゃ、クレヨンに画用紙が置かれている。店主の半谷(はんがい)秀昭さん(58)が、散髪が苦手な人でも安心して通えるようにと開いているサロンだ。

 この日のお客さんは、川崎市から通う男子高校生のおうちゃん(17)。おうちゃんが手元のタブレットでアニメを見ている間に、半谷さんは滑らかにはさみを動かしていく。

 自閉症と知的障害があるおうちゃんが店に通い始めて2年。当初は髪を切る間に動いてしまうこともあった。道を覚え、1人で来店できるようになって1年ほどが経った。

 「はい、おうちゃん。終わったよ」

 今ではすっかり慣れ、短時間で散髪を終える。

涙を流して喜んでくれた両親

 店には3歳児から高齢者まで様々な人が通う。初対面では1時間ほど時間をとり、家族らとカウンセリングをする。障害の種類や度合い、性格、好きなこと、嫌いなこと――。障害のある300人ほどのお客さん一人ひとりにカルテを作成し、聞き取ったこと、気づいたことを記している。

 音が苦手な人には、バリカン…

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