20年前を思い出すマルハラ議論 源氏物語にはなかった句読点の歴史

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加藤勇介

 「○○しておいて!」だと期待をかけられていると感じるけれど、「○○しておいて。」だと冷たく突き放されているように感じる――LINEなどのチャットツールの文面で、文末の句点には圧力があるとする「マルハラスメント」という言葉が若い世代の間で生まれている。当たり前のように使われた句読点がなぜ変容したのか、識者に聞いた。

 「20年以上前の携帯電話でのメールでも同じような議論があった」と話すのは、句読点や符号を研究する筑波大の岩崎拓也助教だ。

 当時、携帯メールでは句読点代わりに様々な絵文字や記号が使用され、絵文字がないメールは「愛想がない」と敬遠されもした。絵文字や改行を多用したケータイ小説が人気を博す一方で、日本語の乱れを嘆く声も聞かれた。

 そして現在、絵文字や記号の…

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    辛酸なめ子
    (漫画家・コラムニスト)
    2024年3月3日10時24分 投稿
    【視点】

     句点に怒っている印象や圧を感じる「マルハラスメント」。若者は略語のセンスがあり、句点だけでなく語尾を省略したり、新しい感性も感じます。  個人的には世代間ギャップ以外にも要因があるように思います。実は私もメールという通信手段を使い始めてか

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年3月3日13時42分 投稿
    【視点】

    絵文字についても、考えてみたくなる。 絵文字は、俳句で使われる「や」「かな」「けり」のような切れ字、あるいは短歌でよく使われる一字空けに相当するものなのかなと。5・7・5の俳句や5・7・5・7・7の短歌のなかにある切れ字や一字空けとい

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