約90㎞に及ぶ隆起、津波…見えぬ復旧、能登の18漁港で使用不可に
能登半島地震による津波や隆起などの影響で、石川県内の69漁港のうち、60港で損傷が確認され、水揚げができない「使用不可」の漁港が18港、一部水揚げができる「一部使用可」が19港にのぼることが、水産庁のまとめでわかった。調査は現在も続き、復旧の見通しは立っていない。
被害の大きかった能登半島北部の「奥能登」は、豊富な魚種が水揚げされることで知られる。
国土地理院の調査では、外浦と呼ばれる半島の西側が約90キロにわたり隆起。水産庁によると、輪島市の10漁港で水揚げができない状況(27日現在)が続く。また、津波や隆起の影響で、県内で162隻以上の漁船に転覆・沈没・座礁の被害があったという。
農林水産省によると、石川県の海面漁業・養殖業の産出額(2021年)は約132億円。県によると、県内主要10港の漁獲量のうち、約3割を被害の大きかった輪島市と珠洲市の港が占める。
県は農林水産業の被害額について、農地や漁港などで約2千億円に上るとの見通しを示す。漁業設備の破損、隆起による漁への被害も盛り込まれた数字といい、被害の全容や詳細の把握には相当な時間を要するという。
4mの隆起の漁港 「移転しかない」
海岸の隆起、岸壁の崩壊、海底の変化……。多くの漁師が今、岐路に立たされている。
「鹿磯(かいそ)(漁港)はもう移転しかない」
石川県漁協の幹部は2月中旬、こうつぶやいた。最大約4メートルの隆起が確認されたのが、輪島市の鹿磯漁港だ。岸壁の真下から岩礁が突き出し、漁船が乗り上げている。
鹿磯は主に、県外の漁船が、スルメイカの水揚げに使っていたという。
県や水産庁で復旧方法を検討中だが、広範囲に岩盤を掘削することは簡単でない。岩のりをとるなど「別の形で生かせないかという話がある」と農水省幹部。災害学習向けの観光など地形を生かして活用する案も出ている。
アルバイトで食いつなぎつつ「漁の再開待つ」人も
県内有数の水揚げを誇る同市…
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能登半島地震(2024年)
2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。地震をめぐる最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]