母体保護法の不妊手術要件「違憲」と提訴 「自己決定権の一つ」主張
子どもを産みたくないと考える女性がいることを認めてほしい――。不妊手術をする要件として「母体の生命に危険を及ぼすおそれがある」などと定めた母体保護法の規定は憲法違反だとして、国内の20~30代の女性5人が、国に賠償を求めて26日、東京地裁に提訴した。弁護団によると、この規定をめぐる訴訟は初めて。「本来自分で決定できるはずだが、日本では厳格な要件がある。不妊手術を受けることは自己決定権の一つと捉え直す契機になれば」としている。
原告は、手術を希望する未婚の女性4人と海外で手術を受けた既婚の女性1人。5人はいずれも子どもを産むことを望まないにもかかわらず、自らが妊娠・出産できることに強い苦痛を覚える、という。出産経験はなく健康状態にも問題がないため、母体保護法が定める手術の要件を満たしていない。
母体保護法は、妊娠や分娩(ぶんべん)によって、母体の生命に危険を及ぼす場合か、すでに複数の子どもがいて健康が低下するおそれがある場合に、配偶者の同意を得て不妊手術ができると定める。違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則もある。
手術に条件、なぜ?いつから?
弁護団によると、不妊手術の…
- 【視点】
実に興味深い裁判だと思う。 母体保護法の前身である旧優生保護法によって、障害者に対しては強制不妊手術がなされ、また逆に性別適合手術を望む性同一性障害者にとっては、旧優生保護法の規定が手術の妨げにもなってきた。 人の生殖機能という極め
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