皇族迎えた駅の貴賓室「現状保存は困難」 市側は難色、住民らが異論
清水謙司
戦前の駅舎で貴賓室を備えるJR畝傍駅(奈良県橿原市)について、同市が建物を現状のまま保存するのは難しいとの見方を、JR西日本に示していたことが分かった。駅舎の保全活用をめざす住民らのグループが、同社と市のやり取りを記録した文書を入手し20日、明らかにした。
駅舎は1940年に建てられた社寺風の木造建築物。貴賓室は皇族が神武天皇陵や橿原神宮を訪れた時などに使われていたという。老朽化で建て替え工事を検討していた同社が市に無償で譲ることを提案。市は民間活用で、観光振興拠点などの場にする可能性も検討してきたが、断念する方針を示していた。
グループが入手した文書には、貴賓室の建物を切り取って残す考えはないことが記されていた。関係者は「再考を促したい」。亀田忠彦市長は、「貴賓室は市にとって大切なもの。後世にしっかりと残していくために、JRも含め、関係機関と調整しています」とコメントを出した。