民間人の犠牲1万人超 ロシアの戦争犯罪を止めるためには 侵攻2年

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キーウ=杉山正

【解説】ヨーロッパ総局長・杉山正

 国連安全保障理事会の常任理事国が核をちらつかせ、国連憲章を無視して隣国を侵略する。そんな蛮行を止めるすべがないまま、ロシアのウクライナへの全面侵攻から2年が経った。法の支配に基づく安定した国際秩序は遠い夢のように思える。

 侵攻は世界の安全保障環境を一変させた。「時代の転換点」としたドイツの国防費増強、武器輸出強化といった政策転換。長年の中立政策をやめた北欧2カ国の北大西洋条約機構(NATO)加盟申請。自国への侵攻に危機感を強めるバルト3国などは対GDP比では世界最多レベルの支援をウクライナにつぎ込んでいる。

 英シンクタンクによると、昨年の世界の防衛費は前年比で9%増え、過去最高になった。

 欧州はロシアが「武器化」したエネルギー依存から脱し、ウクライナは戦前では考えられないほど、欧州連合(EU)とNATOの加盟に近づいた。

 短期間でウクライナの属国化を狙ったロシアの野望は失敗し、NATOの強化とEUの拡大促進というロシアの思惑とは逆の効果を生んだ。

 だが、侵攻の長期化で新たな…

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この記事を書いた人
杉山正
ヨーロッパ総局長
専門・関心分野
国際政治、紛争、外交、民主主義
ウクライナ情勢

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