小学校正規教員3年で全員出向へ 奈良教育大学長の方針に教員が反発

机美鈴
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 毛筆の授業を実施しないといった学習指導要領に沿わない指導が調査で指摘された奈良教育大付属小学校(奈良市)で、新年度からの3年間ですべての正規教員に出向を命じ、異動させる方針であることがわかった。教職員は「同意を得ておらず、出向命令権の乱用だ」と反発している。

 同校では毛筆の授業を長く実施しなかったほか、図画工作で教科書を使用していないなど、8教科で履修漏れや授業時間の不足が、大学側の調査で認定された。宮下俊也学長は1月の記者会見で、教員の異動がなく、人事が固定化されてきたことを問題の一因として指摘していた。

 関係者によると、同校では学長と教員の話し合いが複数回持たれてきた。学長からは正規教員19人について、今後3年間で順次、県内の公立小学校などに出向させる方針が示されたという。出向は3年程度を想定している。

 教員たちは「大量の教員が入れ替わり、学校運営が混乱する」などと反発。学長側の「処分ではない」との見解に対し、教員たちは「同意を得ておらず、実質的な処分の意味合いが強い」と撤回を求めている。

 一方、保護者の有志は、「たくさんの教員が入れ替わると、子どもたちを混乱させ、不安を強いる。先生が全員出向してしまうような人事を強行しないでほしい」と要望し、署名運動を始めている。

 宮下学長は問題を受けて開いた記者会見で、給与の一部を自主返納する一方、「適切な学校運営を妨げた」として、教員の処分を検討する方針を示していた。大学側は朝日新聞の取材に、「応じられない」としている。(机美鈴)

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