自民党の裏金事件に端を発する「政治とカネ」の問題をめぐり、朝日新聞は同党の国会議員(昨年12月時点)が代表の政党支部に献金する企業にアンケートを行った。政治資金収支報告書に記載があった全国の企業のうち、258社がお金を出す側の事情について回答した。寄付の目的は「議員個人の応援」とする回答が165社に上り、出席予定のないパーティー券を買う企業も多い。議員個人への企業献金が法律で禁止されているが、政党支部への献金とパーティー券購入が「抜け道」になっている実態が改めて浮かんだ。
政党支部に献金 「会費を払っている感覚だけど」
「え、あれも政治献金になるの?」。東北地方の小売業者の元役員が首をひねる。自民党支部の収支報告書に自社名と金額があるとわかると、こう続けた。「なんとかって会の会費を払っている感覚だったけど。言われてみれば寄付かねぇ」
自民党が政権を奪い返した12年前、業界団体の窓口を務めた縁で候補者と会う機会が増えた。選挙の応援を頼まれ、議員の人柄や政策に賛同し、当選後に請われて後援会入り。以来、月1万円分が自身の退任後も会社の経費で払われている。
議員はたまに会社へ顔を見せ、社長らと言葉を交わす。見返りや利益誘導を図るような仕事はないが、地域の代表に意見をぶつけ、国政にいかしてもらうための「付き合い料」。そんな感覚だ。
「議員個人の応援であって、自民党の応援ではない」と元役員。今も会社に一定の影響力があり、「法律が認める範囲で応援するだけ。禁止されたらやめるし、されなきゃ続けるよ」と話す。
258社のアンケートでは、寄付目的を「議員個人の応援」とする回答が最多で、「政党の応援」の2倍超だった。その内実は、議員の後援会などの「会費」として定期的にお金を徴収される事例が多い。政党支部が企業献金の「受け皿」として使われている。
岐阜県の製造業社長が代表を務める議員の後援会は今月、「会費納入のお願い」と題した文書を例年通りに発送した。裏金問題は「政治不信と混乱を招く事態」だとしつつ、議員が信頼回復に励むとして「会費」の振り込みを求めた。年会費は1口5万円で、口数は任意。振込先の名義は自民党支部だ。会員の1人は「地域の有力者に誘われて入会した。途中で抜けるのは難しい」と話す。
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