やまぬネット中傷 RADWIMPS野田が「舟を編む」に込めた願い

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宮田裕介
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 SNSを開けば、匿名の投稿者たちによる過激な言葉が飛び交い、誹謗(ひぼう)中傷で命を絶つ痛ましい事件が繰り返し起きている。

 一人ひとりの言葉への向き合い方が問われているこの時代に、一石を投じるドラマが18日から始まる。「舟を編む~私、辞書つくります~」(NHKBS、日曜夜10時)。このドラマで人気バンド「RADWIMPS(ラッドウィンプス)」のボーカルでもある野田洋次郎は辞書編集者を演じる。

 三浦しをんの原作小説は2012年の本屋大賞を受賞した作品だが、10年以上たって、「令和版」としてドラマ化された。

 言葉は誰かを傷つけるためではなく、誰かを守り、誰かとつながるためにある。このドラマにはそんなメッセージが込められている。ミュージシャンとして、第一線で活躍する野田を駆り立てたのは、そんな言葉への思いだった。話を聞いた。

4年ぶりの俳優業 「役は自分の分身。俺がやる」

 RADWIMPSは、2005年にメジャーデビュー。当初から若者を中心に人気を集めていたが、社会現象となった新海誠監督のアニメ映画君の名は。」と「天気の子」の劇中音楽を担当。大流行した「前前前世」などで、老若男女に知られる存在になった。

 野田個人は俳優としても活動の幅を広げ、映画やテレビドラマに出演。ただ、この4年あまりは音楽活動に専念してきた。

 だが、「舟を編む」のオファーがあり、脚本を読んで、考えが変わったという。

 「衝撃を受けました。今の時代にちゃんと届けるんだという思いが詰まっていました。僕も音楽を作る時に、もちろん100年後にも残ってほしいけど、今の時代に生きている人たちと共有したいと思った。俳優だろうが、音楽だろうが、どんな形であれ、この作品の一部になりたいと思った」

 ドラマで演じるのは、辞書編集書の馬締光也(まじめみつや)。名前の響きの通り「まじめ」。営業から辞書編集部へ引き抜かれて十数年、辞書に人生の全てを捧げてきた役だ。原作は本屋大賞受賞作で、既に映画化やアニメ化もされてきた。だからこそのプレッシャーもあったが、それよりも野田を動かすものがあった。

 「馬締の言葉への姿勢は、自分の分身のように思えた。ずうずうしいかもしれませんが、俺がやるべきだという使命感がありました」

 バンドでは作詞も手がける。演じる馬締という役と野田自身が重なったのは、言葉の語源や成り立ちを知った上で言葉を選んでいることだという。

 「毎日家族といても、なんで両親が結婚したのかよくわからないとか、実はよく知らないことがあります。これは意味までよく考えず、何げなく使ってしまう言葉も似ているなと思う」

 一人称「僕」は、元はへり下…

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