「幼稚園くさい」肌をかきむしる子 母は「香害」に配慮を求めたが…

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中村英一郎

 柔軟剤や合成洗剤の香料が原因とみられる体調不良などの「香害」に悩む人たちが、メーカーに対応を求めている。各地の地方議員らが1月、香料入りの「マイクロカプセル」を配合して香りを長続きさせる製法の中止を求め、柔軟剤メーカー3社と日本石鹼(せっけん)洗剤工業会を訪問。署名8889筆を提出した。

 署名に参加した東京都西東京市の女性(58)は昨年末、香料などに含まれる化学物質で体調不良になる化学物質過敏症(CS)と診断され、約15年働いた会社から契約を打ち切られた。

 2年前の冬、異動先の研修で、同僚の柔軟剤の香りを「くさい」と感じるようになった。「鉄板でプラスチックが溶けるようなにおい」。人の話が頭に入らなくなった。会社に相談したが、「日用品を使うなとは言えない」と回答された。頭痛や手足のしびれ、耳鳴りもあり、休職せざるをえなかった。

「突き放された」と感じた友人の一言

 日常生活にも影響が出た。マンションのベランダから漂う香りがきつく、窓を開けられなくなった。店で通りすがった人の香りで動けなくなったことも。夫がいないと買い物にも行けなくなった。

 ショックだったのは、友人の何げない一言だった。「柔軟剤がくさい」と打ち明けると、「もう山奥に住むしかないじゃん」と笑われたという。突き放された感じがしてつらかった。

 1年半の休職をへて、契約を打ち切られた。「香害で人生が詰んでしまう人がいることをメーカーと行政に知ってほしい」と話す。

 「仕事に戻りたい。副業に、と勉強したネイルの仕事もしたい。旅行に行きたいし、外食もしたいです」

肌をかきむしる息子「幼稚園がくさい」

 香害に悩むのは、大人だけではない。

 署名に参加した西日本の30…

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中村英一郎
ネットワーク報道本部|首都圏ニュースセンター
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