ペンの力を奪われたパレスチナ人記者 つばかけられ「ガザに行け!」

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ヨルダン川西岸ラマラ近郊=今泉奏

 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が続くなか、もうひとつの同自治区であるヨルダン川西岸で、イスラエル当局によるジャーナリストの弾圧が相次いでいる。昨年10月にガザで戦闘が始まって以降、数十人が逮捕、拘束されたとみられ、現地のジャーナリストたちは「狙い撃ちにされている」と訴える。

 ニュース番組プロデューサーのミルバット・アゼフさん(45)は昨年11月半ば、イスラエル警察から呼び出され、そのまま逮捕された。前日まで米NBCの現地プロデューサーとして働き、ヨルダン川西岸でユダヤ人入植者に撃たれて亡くなった少年の取材に関わっていた。

 警察署での尋問は、一日中続いた。

 「誰と、どこで取材をしたのか」「おまえの書いたことは扇動だ」

 質問の内容から、ジャーナリストだから狙い撃ちにされていると感じた。

 疲れ切っていたが、「終われば解放される」と思って乗り切ることだけを考えた。実際、近しいジャーナリストたちは、1、2日の尋問で解放される人たちが多かった。

 しかし、待っていたのは終わりの見えない拘束だった。

寒さに震え、食事はのどを通らない。「私は強い女性」。そう言い聞かせて、耐える日々が始まった。

 2回にわたり、服をすべて脱…

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この記事を書いた人
今泉奏
ヨハネスブルク支局長|サハラ以南アフリカ担当
専門・関心分野
アフリカ、植民地主義、グローバルサウス
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

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