精神障害者が起こしたトラブル、誰が責任を負う? 認知症との違いは

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金子和史

 統合失調症の男性がけがを負わせた相手の医療費などを、母親が支払うべきかが争われた訴訟で、東京地裁が判決を出した。責任能力がない人が起こした損害を、誰がどう償うのか。保険という選択肢はあるが、特に精神障害には十分対応できていないのが現状だ。

 2019年5月、東京都内の40代男性が、アパートの下の階の住人を殴ってけがをさせた。男性は20代の頃に統合失調症になり、幻聴などの症状があった。同居する母親が食事などの世話や財産管理をし、1日の大半を部屋で過ごしていた。

 殴られた住人は同年12月、母親に医療費など約116万円の賠償を求めて提訴した。

こうしたケースで誰が責任を負うかはかねて議論されてきました。認知症も同様です。記事では裁判の結論とともに、司法だけで解決できない課題に向き合う取り組みも紹介します。

 民法714条は、精神障害な…

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この記事を書いた人
金子和史
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
事件、司法
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    永田豊隆
    (朝日新聞記者=貧困、依存症、社会保障)
    2024年2月13日23時15分 投稿
    【視点】

    統合失調症だけでも100人に1人の割合で発症するといわれます。精神障害者が関係するトラブルについて誰がどう償うのかは、身近で大事な問題といえます。 記事で弁護士が危惧しているように、家族に過度な賠償責任を負わせれば、当事者の閉じ込めや家族

    …続きを読む