厚生労働省は6日、2023年分の毎月勤労統計調査(速報)を発表し、物価を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年比2・5%減だった。名目賃金が物価の大幅な伸びに追いつかず、減少は2年連続。減少幅は比較可能な1990年以降では、消費増税のあった14年(2・8%減)に次ぐ大きさだった。
昨年の春闘では、正社員の賃上げ率(連合集計)が30年ぶりの高水準だったことなどもあり、名目賃金にあたる現金給与総額は、1・2%増(月額32万9859円)と3年連続で増加。しかし、実質賃金の計算に使う消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3・8%増と、上昇率が大きかった。
厚労省の担当者は「今年の春闘でベースアップの水準がどれくらい上がるかを注目したい」と語る。
現金給与総額のうち、基本給などの「所定内給与」は1・2%増の25万1309円。一方、賞与を含む「特別に支払われた給与」は2・0%増の5万9570円で、コロナ禍からの反動で伸びた前年(4・6%増)と比べて伸びは鈍化した。
現金給与総額を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者が1・8%増の43万6849円、パートタイム労働者が2・4%増の10万4570円で、いずれも過去最高額だった。
実質賃金は20年の水準を1…