PFAS汚染で停止中の河川取水、再開へ ダム貯水率低下で沖縄県
沖縄県は5日、米軍基地から流出した可能性が高い有機フッ素化合物(総称PFAS)の影響で停止中の沖縄本島中部の河川からの取水を近く再開する方針を固めた。降水量が少なく、ダムの貯水率が大幅に低下しているためで、市町村への説明などを経て9日にも取水を始める見通し。
沖縄県では近年、米軍基地周辺で、国が定めた暫定目標値を上回るPFASが検出されている。米軍の普天間飛行場や嘉手納基地がある沖縄本島中部の河川でも高い値が検出され、2022年に取水を停止した。
県内の降水量は、特に雨が少なくなった昨年9月から今年1月まで計379ミリと、平年値の半分ほどになっている。県内に11カ所あるダムの貯水率は5日時点で51・8%で、平年値を25ポイント超下回る。このままでは、貯水率が50%を下回る見込みで、県は5日に渇水対策本部の会議を開き、河川からの取水再開を決めた。
県によると、ダムの貯水率50%を目安に、本島中部を流れる天願川と長田川、嘉手納井戸群からの取水を再開する。PFASの検出濃度が高い比謝川からの取水は当面見送るが、過去10年で最も貯水率が低かった2018年の44・3%を下回ることを目安に再開する方針だ。
県は、浄水場で処理した水は国が設定した暫定目標値の水1リットルあたり計50ナノグラム(ナノは10億分の1)を下回ることから、健康への影響については「問題ない」との見方を示している。浄水処理に必要な原因物質を吸着する活性炭などのPFAS対策費は、沖縄防衛局の補助を受けて県が負担している。