2問だけの自民調査、「裏金」の使い道も聞かず 党内から「逆効果」

有料記事自民

森岡航平 藤原慎一 伊沢健司

 自民党派閥をめぐる裏金問題で、同党は5日、政治資金収支報告書を訂正した議員をリスト化し、野党に示した。しかし、このリストは2020~22年の3年分のみで、対象も安倍派91人、二階派7人の計98人分だけだった。野党側は、公表済みの分を並べただけで不誠実だと批判した。自民が同日開始した全議員アンケートの設問が、わずか2問であることもわかった。

 立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は、自民所属の全議員に裏金への関与を自己申告させ、金額や使途などとともに過去5年分をリスト化するよう求めていた。野党側は今後示される調査結果の内容も不十分であれば、審議拒否も含めた国会対応を取ることで一致。自民が始めた聞き取り調査や全議員対象のアンケートの結果を、来週初めまでに提出するよう求めた。立憲の安住淳国対委員長は記者団に「全容解明しようという誠実さが全く感じられない」と語った。

 これに対し、岸田文雄首相はこの日の衆院予算委員会で、今週中にいずれの調査も終え、アンケートは来週早々に取りまとめると表明。「党としても必要な説明責任を果たしていきたい」と話した。

 自民はこの日、8日が締め切りのアンケートを全議員に配布。だが、5年間の収支報告書の「記載漏れ」の有無と、記載漏れがあった場合の金額を尋ねる2問のみだったため、野党側は「危機感はあるのか」(維新国対幹部)とさらに反発を強めている。

自民アンケート、ほど遠い「実態把握」

 自民党は5日、党所属の全国会議員に「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査」と題したアンケートを配布した。政治資金収支報告書の「記載漏れ」に関する2問のみで、首相が掲げる「実態把握」にはほど遠く、党内からも、ため息が漏れる。

 A4用紙1枚のアンケートで…

この記事は有料記事です。残り1456文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
森岡航平
政治部|首相官邸担当
専門・関心分野
国内政治
藤原慎一
政治部|野党担当サブキャップ
専門・関心分野
国内政治、安全保障、憲法、震災復興
  • commentatorHeader
    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2024年2月6日10時12分 投稿
    【視点】

    予算委員会を観ていますが、「調査やった風にしてうやむやにしたいのよ」感が満載すぎて、安倍派の若手が「これじゃ逆効果」とため息をつく気持ちわかります。ようやく重い腰あげてやってみた全議員アンケートもわずか2問で、「しっかり調査したら公選法や脱

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    今野忍
    (朝日新聞政治部記者=政局、選挙)
    2024年2月5日22時57分 投稿
    【解説】

    自民党の派閥による政治資金パーティーを利用した組織的な裏金事件では、東京地検特捜部による捜査が一区切りした関係から、自民党自身による実体解明、つまりな、なぜパーティー券収入が裏金化されたのか、裏金化した議員の数と金額、その使い道の解明が求め

    …続きを読む
政治資金問題

政治資金問題

「政治とカネ」にかかわる問題が浮上しています。関連ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]