司法に頼る前にやるべきことがある 見識を持ち他者と議論を続けよう

有料記事

聞き手 編集委員・豊秀一
[PR]

 日本の最高裁は長く、違憲判断を出すのに消極的だと言われ続けてきました。これで「憲法の番人」を果たしてきたと言えるのでしょうか。憲法学者の佐々木くみ・東北学院大学教授に話を聞きました。

     ◇

 日本の最高裁は違憲判断を出すのに消極的と言われてきました。しかし、違憲判断に消極的だからというだけで「憲法の番人」の役割を果たしていないと評価を下すことは早計です。

 司法は「法の支配」を実現する機関です。権力者が恣意(しい)的に権力を振るう「人の支配」の反対の考え方といえます。ただ、「法の支配」といっても法を適用するのは裁判官で、裁判官による「人の支配」に陥る危険をはらんでいるのです。

 象徴的なのが、2022年6…

この記事は有料記事です。残り901文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2024年2月7日11時56分 投稿
    【視点】

    ご指摘にある「目の前にいる困っている人たちをどう救済するのか」というのが最近の憲法訴訟のキーワードになっていると感じます。 夫婦同氏制は今のところ合憲とされていますが、先日(昨年10月25日)に最高裁で違憲判断がなされた性別変更に関する手

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2024年2月7日14時33分 投稿
    【視点】

    各人が見識を持ち他者と議論を続けることは大事です。正論です。ただこれは終わりのない苦しい取り組みだから、「司法に頼る前にやるべき」と位置付けられると辛いなと思ってしまいます。日本国憲法が予定する司法のハードルってそんなに高いものなのでしょう

    …続きを読む