第2回ロシアの歴史はなぜ「極端」に振れてきたか 沼野恭子氏が唱える仮説

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聞き手・構成 根本晃

 ウクライナ侵攻を続けるロシアという国をより深く知るために、沼野恭子・東京外国語大名誉教授(現代ロシア語文学)と小泉悠・東京大先端科学技術研究センター准教授(ロシア軍事・安全保障)が異色の対談を行いました。今回はロシアの歴史や特性を分析するとともに、ウクライナ侵攻の今後の展開を考えます。

 ――現在のロシア社会をどうみますか。

 小泉 僕がモスクワに住んでいたのは2009年末から11年の初めまでで、(08年にメドベージェフ前大統領と交代した)プーチン氏はまだ大統領に復帰していませんでした。

【連載】沼野恭子×小泉悠×ロシア

ウクライナ侵攻が始まってまもなく2年。国際社会の批判や経済制裁を受けながらも戦争を続けるロシアとは、一体どんな存在なのでしょうか。ロシアをよく知る2人による、異色の対談から見えたものとは。

 ロシアは当時、第3次世界大戦のような大規模な戦争はもう起こらないと想定し、軍をスリム化する大規模改革を進めていました。ですが、それから10年余りの間にすっかり20世紀に逆戻りし、今では「動員」が行われるまでになってしまいました。

 沼野 ロシアの歴史は振り子のように反動を繰り返してきました。左に振れると、次は右に振れ、しばらくするとまた左に戻る。他の国の歴史にも共通しているかもしれませんが、ロシアでは、この振れ幅がきわめて大きく、国民性についても極端から極端に振れるとよく言われます。

振れ幅が大きいロシア その理由は

 私はこのような性質が形成さ…

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この記事を書いた人
根本晃
イスタンブール支局長|中東・欧州担当
専門・関心分野
国際政治、トルコ、ガザ、ウクライナ、語学
ウクライナ情勢

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