第7回理系より指導の回数「少ない」 文系院生、博士号やキャリアに影響

有料記事「指導放置」 東大アカハラ処分が問うもの

聞き手・水戸部六美
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 文系の大学院生に3カ月あまり具体的な指導や応答をしなかった「指導放置」がアカデミックハラスメントにあたるとして昨年春、東大が指導教員である教授(当時)に停職1カ月の懲戒処分を出した。

 文部科学省が公表したデータでも、文系の大学院は理系の大学院に比べ、教員による研究指導の頻度が低いことなどが明らかとなっている。国もこの点を問題視し、文科相の諮問機関である中央教育審議会の「大学分科会」や「大学院部会」で議論し、昨年12月に改革に向けた方策をとりまとめた。同部会で臨時委員を務める名古屋大学副総長の佐久間淳一教授(言語学)に、改革の必要性について聞いた。

 ――部会の資料では、文系は理系と比べ「教員による研究指導の頻度が低い」と指摘されています。違いの背景は?

 分野にもよりますが、理系は実験するところが多く、研究室単位の運営が一般的です。実験をするために教員も学生も毎日のように研究室に来ますし、その度に、教員が学生の進捗(しんちょく)を確認することも可能です。

 また同じ実験設備を使って学生と教員が共同研究することも多く、学生がメインで行った研究でも、論文の共著者に指導教員の名前が入ることが一般的です。共著者として責任もありますし、手厚く指導が行われる傾向があります。

 一方、文系の研究は、大がかりな設備は必要ないことが多く、個人研究が主体です。極論を言えば、文献とパソコンさえあれば、教員も学生も家で研究ができてしまう。

 研究に相当関わっていない限り、指導をしたというだけで、学生の研究成果の論文に、指導教員の名前が共著者として載ることもあまりありません。こうした分野の特性もあり、理系と比べると指導頻度が低いのだと思います。

 ――資料には、博士課程修了までに時間がかかるという指摘もあります。

 博士後期課程の標準修業年限は3年間ですが、修了までにかかる年数は世界的にみても、理系に比べ文系の方が若干長いと数字で出ています。そのため、プラス1年ぐらいは仕方がないと感じます。

 ただし問題は、日本の場合、数年超過というケースもいまだに少なくないということです。博士号取得まで8年、9年という人もいます。

テーマ選びも影響「学生任せに」

 共同研究が主体の理系は、博…

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