「心の世界が崩壊する」大切な人と死別の衝撃、悲しみと向き合うには
能登半島地震は、240人を超える人々の命を奪った。大切な人を失った衝撃に、周囲はどのように向き合えばよいのか。災害による死別の後に心におこる反応と、ケアをする上で大切なことを、悲嘆のケアに詳しい武蔵野大学の中島聡美教授に聞いた。
――能登半島地震では、多くの人が犠牲になりました。
災害の体験が心にもたらす影響は、大きく分けて三つあると考えられています。一つは、命の危険を感じるようなトラウマ体験がもたらすフラッシュバックや回避行動。もう一つは、周囲の環境や生活が大きく変わった二次的なストレスによる不安や抑うつ。そして、家財を含む大切な人やものを失う「喪失」体験がもたらす悲嘆や抑うつです。
大切な人を失ったとき、悲嘆の反応としてまず表れるものは何か、知っていますか?
――涙を流すことでしょうか。
いいえ、まず表れるのは、感情のまひです。特に今回の災害のような突然の死別では、大切な人を失った直後は、強いショックを受けて感情や感覚がまひしてしまうことが多いのです。現実とは思えないし、感情がわいてこなくて、涙もでないような状態です。
ところが、だんだん、その人がいないということを現実のものとして感じられるようになると、激しい悲しみに襲われます。親や子ども、配偶者といった家族やそれと同じくらい大切な人は、私たちにとって愛着や養育の対象であり、自分の心の世界の一部です。
それが根こそぎ失われるわけですから、世界が崩壊するのと同じです。人生が終わってしまうような、絶望的な悲しみ、苦しみの反応が表れます。
残された家族より、亡くなった人のことばかりを考える
――悲しみにとらわれることも、正常な悲嘆の反応なのですね。
まさに、それが悲嘆なのです…
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能登半島地震(2024年)
2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。地震をめぐる最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]