ウェブページを「魚拓」するしか? デジタル時代の記録、保存方法は
現場へ! 記録を残す③
教科書に載るような「大文字の歴史」以外にも、暮らしの息づかいを伝える記録があります。様々な市井の記録の保存の現場を訪ねました。
古い写真や映像など、身近な記録を残そうとする試みを取材していると、「デジタル化」は救世主のようにも思えてくる。そのものを残すのは難しい場合にはデータの形で残したり、デジタル化で多くの人の目に触れたりすることで、「原本」の保存につながることもあるからだ。ただ、元々デジタルで生まれる情報はどうなのだろう。以前見たウェブページがいつの間にか消えていたり、中身が変わってしまっていたりというのは、よくあることだ。ウェブの記録を将来に残していくことは、できるのだろうか。
「ウェブ魚拓」
知る人ぞ知るこのサイトは、ウェブページを引用するためのサービスだ。魚をかたどった形の中に宇宙から見た地球のような画像が組み込まれている。
「人には、万人に対して公開された情報について論評する権利があります」
「ウェブ魚拓は内容の編集が不可能な仕組みになっています。『その内容が』『そのURLで』『その日時に』公開されていたことの証拠として使うことができます」
サイトの案内には、こうある。
書籍などの出版物と違い、ウェブの記載は簡単に削除したり上書きしたりできてしまう。ウェブ魚拓は、保存したいウェブページのURLを入力すると、サーバーを通じ情報を取得して改ざんできない方法で保存される仕組み。どんな人が、なぜ、始めたのだろうか。
運営するのは愛知県豊橋市にある社員6人のIT会社だった。訪ねると、新沼大樹社長(42)がにこやかに迎えてくれた。
「ウェブを保存しないということ、イコール、日本の歴史の記録が失われるということ」と国立国会図書館の担当者。爆発的に増え続けるデジタルの情報は「保存」できるのでしょうか。
「始めたのは2005年、プ…