「選択的夫婦別姓の導入を」経団連が政府に要望 公式会議で初めて

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岡林佐和
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 経団連は17日、加藤鮎子・女性活躍担当相との懇談会で、選択的夫婦別姓の導入を政府に求めた。結婚後に夫婦が同じ姓を名乗ることを義務づける日本の制度が企業活動を阻害していると訴えた。経団連が公式な会議で政府に選択的夫婦別姓の導入を要望したのは初めてという。

 懇談会では女性登用をめぐって議論を交わした。経団連の魚谷雅彦・ダイバーシティ推進委員長(資生堂会長)は会合で、「パスポートの名前とビジネスネームが異なることは、国際機関で活躍する研究者の継続的なキャリアを阻害する要因となっている。海外出張先のホテルや訪問先で閉め出されるといったこともある」と具体例を挙げた上で、「選択的夫婦別姓の実現に向けて強力にリーダーシップを発揮してほしい」と求めた。

 加藤氏は会合後、朝日新聞の取材に「経済界から要望をいただいたことを重く受け止める」と話した。

 選択的夫婦別姓制度の導入については、法制審議会が1996年に民法の改正案を答申した。だが自民党内で反対意見が強く、国会に提出できないまま現在に至っている。夫婦同姓を法律で義務づけているのは世界では日本だけ。政府は、運転免許証などに旧姓を併記する運用を進めてきたが、国際的なビジネスの場では通用しないと経済界が突きつけた格好だ。

 経団連によると会合の意見交…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2024年1月17日14時20分 投稿
    【視点】

    日本でもたくさん困ることがあるのに「海外で通用しない」という事例だけを出してきたことに少し驚きましたが、「経団連が公式な会議で政府に選択的夫婦別姓の導入を要望したのは初めて」というのも驚き。写真を見ると、経団連の代表企業のメンバーに女性が何

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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2024年1月17日19時34分 投稿
    【視点】

    選択的夫婦別姓。 私に言わせれば、今すぐにでもさっさと導入すべきものであって、こんな当たり前すぎることすら未だに実現できていないところが、日本社会の停滞を如実に示していると思う。 導入反対派は、家族の一体感が云々という話を主な根拠とする

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