第11回社会への信頼を喪失した青葉被告 孤立を防ぐことが犯罪の芽を摘む

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聞き手・山本逸生

識者に聞く京アニ事件④ 精神科医・安藤久美子さん

 36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件。裁判では、青葉真司被告(45)の半生が明らかになりました。こうした事件を再び起こさないために、社会に何ができるのか。識者とともに考えます。

 4回目は、精神科医の安藤久美子さん。罪を犯した精神障害者の更生支援に携わってきた経験などから、支援の現場で必要なことや、犯罪の連鎖を断ち切るために重要なことを語っていただきました。

    ◇

 青葉真司被告は放火事件を起こす前にも、暴行やコンビニ強盗で2度逮捕されています。強盗事件での服役中に精神障害と診断され、出所後はクリニックへ通院し、生活保護や訪問看護、訪問介護を受けていました。

 関わった支援者らも手を尽くしたとは思いますが、青葉被告は妄想の影響もあり、自ら訪問看護などに応じなくなりました。最も支援や介入が難しいケースだったと言えます。どれだけ親身に支援しようとしても、本人が納得しなければ、受け入れてもらえません。こうした場合、本人のニーズをよく聞き取り、必要な支援との間の妥協点を見つけていくことが重要です。

 青葉被告は出所後、生活保護…

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この記事を書いた人
山本逸生
国際報道部
専門・関心分野
格差、事件、労働
京都アニメーション放火殺人事件

京都アニメーション放火殺人事件

2019年7月18日、京都市の京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡しました。京都地裁は2024年、青葉真司被告に死刑判決を言い渡しました。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]

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