神に捧げた「貴族の誇り」「武士の魂」 春日大社で最高級の刀剣公開

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今井邦彦
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 日本では古くから刀剣には神や霊力が宿るとされ、刀を「魂」と称した武士だけでなく、貴族にとっても地位や権威を象徴する特別な存在だった。奈良市春日大社国宝殿では、貴族や武士が奉納した最高級の刀剣の数々を公開した特別展「貴族の誇り・武士の魂―関白・将軍の刀など―」が開かれている。

 春日大社が所蔵する刀剣の中でも古い様式を残しているのが、正倉院にも伝わる中国・唐の装飾刀の影響を受けた「飾剣(かざりたち)」だ。国宝「黒漆平文(くろうるしひょうもん)飾剣」は平安時代中~後期(10~12世紀)のもので、実用の武器というより、貴族が正装の際に威厳を示すために身につけた刀だという。

 展示室中央の国宝「金装花押散兵庫鎖太刀(きんそうかおうちらしひょうごぐさりたち)」は、南北朝時代(14世紀)に室町幕府の足利将軍家(社伝では3代将軍義満)が奉納したもので、刃渡り94センチに及ぶ「大太刀」。金を塗った銀板の鞘(さや)や柄(つか)には足利家のものとみられる花押がいくつも書かれている。

 対照的に刃渡り46センチと…

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