「8がけ社会」の2040年、主役は今の20~30代の若者世代だ。働き手が減る未来と向き合おうとする視線の先にあるのは何か。
昨年12月、川崎市宮前区の有料老人ホーム「グッドタイムホーム・鷺沼」に歌声が響いた。
連載「8がけ社会」
高齢化がさらに進む2040年。社会を支える働き手はますます必要になるのに、現役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってきます。今までの「当たり前」が通用しなくなる未来を私たちはどう生きるべきでしょうか。解決に向けた糸口を探ります。
ピアノ講師の森明乃さん(71)が、昭和歌謡でお年寄り数十人を楽しませていた。事務室では、病院職員の鈴木彩夏さん(30)がパソコンに向かい、クリスマスの催しを紹介する画像を作成し、文章をつけてブログで発信していた。
2人ともこの施設の職員ではない。介護現場と外部人材をつなぐマッチングサービスを通じて施設に通う「有償ボランティアの助っ人=スケッター」だ。
2人が特技を生かして活動する間、職員に余裕が生まれる。「入居者の顔と名前が一致することが必須なケアに専念できる。外の目が入ることで接遇も良くなる」と吉田まり絵施設長は喜ぶ。
多種多様な介護の仕事から、無資格・未経験者でもできる仕事を切り出す。それを「お手伝いカタログ」に整理し、ボランティア希望者に橋渡しする。事業者は時給換算で1千~1500円ほどの謝礼をボランティアに払う。
この仕組みを立ち上げた、プラスロボCEO(最高経営責任者)の鈴木亮平さん(31)が掲げるキャッチフレーズは「日本一おもい問題に、日本一かるい答えを」。
狙いは「1億総福祉人」
人材不足は、介護業界内だけで解決するには重すぎる。発想を変え、業界外にいる介護の関心層にアプローチし、軽い気持ちで参加できるインフラを作ればいい。「介護の関係人口を増やし、1億総福祉人の時代をつくる」。そんな未来が目標だ。
難題だからこそ取り組む意義…
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